正しい人の喰い方マニュアル -8ページ目

サルコファゴス~腐敗する遺体

人間が死した後はどのような過程で腐敗し
白骨化していくのだろうか。
ミイラについて調べている時にカナダの女性ジャーナリスト
ヘザー・プリングルの書籍に以下のような記述があった。
彼女がいかにしてこのような状況を知ったのかについては記載は無いが
非常に冷静に、人の死を追っている。
以下その引用である

死体は放置しておくと、死は人間の死体に好き勝手な事をする
呼吸を妨げ、心臓を停止させ、目の輝きを奪ったその瞬間から
死はおびただしい残虐行為を働きはじめる。
数時間もしないうちに、おもな筋肉が全て硬直する。
最初にまぶた、それから顎、首、肩へと広がり、やがて全身が死後硬直する。
数日で腐敗が始まり、見慣れた顔が悪夢のような物に変わる。
数週間もすると、肌が侵食され組織が溶け、肉が蝕まれて行き
やがて硬い白骨だけになる。

だがこうした暴力行為を働きながらも死は綿密に規則正しく仕事をし
あらかた決まった手順で損傷を与えて行く。
古代ギリシャ人はこの整然とした破壊行為は石棺の仕業だろうと考えた。

彼らは石棺をサルコファゴスと呼んだが、
これは文字通り「肉を食べる物」という意味である。

こうした損傷はすべて死の腹心の部下であるたんぱく質の分子酵素の仕業である
酵素は裸眼では見る事ができない

エンザイムという言葉は、そもそもギリシア語で「発酵させられた」
を意味する。
「エンズモス」に由来する、

人間が生きているあいだ、酵素はおもに細胞核の中でその人味方として機能し
最近など外部から侵入してくるものを貪る。
死後数日で体内の細胞はほぼ一つ残らず損なわれてしまう

腸内の最近もやはり酵素で武装している
死後最近は腸壁を壊し始める。
そして体内のスーパーハイウエイである血管の網の目を通じて広がり、
思う存分餌にありつく
最近は結合組織を貪り
脂肪組織や筋肉組織、神経組織を食い尽くす
その間ずっと臭いガスを放出するので生きている人間は本能的に嫌悪を覚える

腐敗はどんどん身体を侵し続ける
数日の間に表皮は蝋のような青白さを失う。
まずほのかな緑色へと変わり、それから紫色になり、最後は黒くなる。
顔や陰嚢や陰門が腫れ、腹部は膨れ上がる

場合によっては死体は風船のようにふくらみ通常の三倍ほどになることもある
それから繭のようにぱっくりと割れる。
血みどろの液が鼻や口から流れ出し、眼球は溶けてしまう
皮膚の一面に水泡ができ、それが破れる。
爪ははがれ、皮膚の表層は軽く触っただけでもずるっと落ちる、

こうして腐敗が進むなかで、死は更に援軍を召集する
死体の腐敗臭に人間が気が付くはるか前に
昆虫は三キロも離れた所からそのにおいにおびき寄せられる。
昆虫が現れる順序はいつも決まっている
たとえばサルコファギデと呼ばれるニクバエ科のハエやクロバエ科のハエなどだ
ハエは死体の上に舞い降り、傷口や開いたままの口など開口部という開口部に
小さな卵を植え付ける。卵は二・三日のうちに孵り
蛆虫が這いだし、しばしば群をなして身体中を移動しながら肉を食らう

次にはカツオブシムシ科をはじめとする甲虫類が現れる
腐肉をあさるハエも甲虫も
肉を溶かして食べる為強力な酵素を放出する。
これは人間の死体を分解するのに非常に有効な手段である
これらの生物によって死体がほぼ骨ばかりになった所に最後にクモやダニ、ヤスデ
などがやって来る。
熱帯地方では大気や虫に晒された死体は僅か二週間から四週間で白骨化する

ミイラはなぜ魅力的か
ヘザー・プリングル
ISBN4152084197



著者: ヘザー プリングル, Heather Pringle, 鈴木 主税, 東郷 えりか
タイトル: ミイラはなぜ魅力的か―最前線の研究者たちが明かす人間の本質

柳永哲その軌跡(総括)

ソウル連続殺傷犯 柳永哲が逮捕されたのは
2004/07/16 の事だった

鈍器で女性を殴り殺すという猟奇殺人犯は
まずは監視カメラにその姿が捉えられ
懸賞金五千万ウオンがかけられた

彼はソウル・駅三(ヨクサム)洞の某旅館で
女性出張マッサージ師を監禁、暴行を加えた容疑で逮捕された
これは

「三十代と思われる某顧客の電話を受け出かけた出張マッサージ師は皆いなくなる」

という通報に基づきマークをしていた事が効を奏したのだ

警察の踏み込みに対し彼は逃走を図り、
その場で勧誘チラシを飲み込み、携帯電話を捨て
殺害に使用したナイフとノコギリは自宅から少し離れたごみ捨て場に捨てた

自殺用に睡眠薬を購入するものの逃走開始から十二時間後
彼はついに逮捕された

富裕層の女性を殺害する場合は高級住宅街でも
百坪以上の二階建てを選び
老人が一人で留守番している昼前後や午後を狙って犯行を行い、
老人以外に家族がいた場合も無差別に鈍器で頭を殴って残酷に殺害した
殺害後遺体はその場に放置し
富裕層への怒りである事を知らしめる為
貴金属には手をつける事は無かった

では定職を持たない彼はどうやって生活費を調達していたのだろうか
どうやら、それは売春婦達に警察であると詐称し強奪する事で賄っていたようである

彼の住居は商店のビルを改造して作られた地下一階、地上四階のビルで、
地下にはカラオケ、一階には食堂があった
隣に住む会社員は

「一~二カ月前から夜になると何かを叩き壊すような音が頻繁に聞こえてきた。
 また、機械の音も聞こえた」
「電動歯ブラシの音だとばかり思った。まさかこのようなことは想像もできなかった」

と証言し、事件発覚後引っ越しの準備を始めたという
大家も水道代があまりにも多くかかるので抗議した事があったそうだけれど
まさかそれが遺体の血を使う為に使われていようとは
想像する事はできなかっただろう

売春婦を殺害する際は富裕層殺害とは違い残忍だ
そもそもは富裕層を殺すだけで売春婦を殺す気は無かったらしい。
しかしその時期テレフォンクラブで知り合い
つきあっていた女性マッサージ師に
前科と離婚歴、癲癇の発作がある事を知られ別れる事になってしまい
それを逆恨みし、売春婦も殺害のターゲットとする事にしたらしい

警察の身分証明書をパソコンで偽造し、
南大門(ナムデムン)市場で三万ウオンの手錠を購入し、
拳銃は購入しなかったものの、
公開された所持品の中には拳銃の通信販売のチラシが多数入っていたから
将来的にはそれも揃え脅迫の道具とするつもりだったのかもしれない

彼はこの偽の身分証明書で警察をも騙し
売春婦と楽しんでいた警察官から身分証明書を奪うといった事さえも
行っていた
後日この警察官は懲戒処分を受けている

彼は売春婦の前では常に取締まりに来た警察のように振舞い
老姑山(ノゴサン)洞の自宅に誘い込み殺害した後
浴室でノコギリを利用して十五~十八片にバラバラに切断し
黒いビニール袋、五・六枚で包み麻浦区・奉元(ポンウオン)寺近くに運搬後
それらを外すという作業を繰り返していた

これらパソコンの技術は刑務所に入っていた際に習得した物であるようだ

「私のことをふった女性と同じ名前の出張マッサージの女性は、
 さらに残酷に殺した。ハンマーで殺したと表現されていたが、
 実はカッターで全身を切った。血を溢れ出させ殺そうとしたが、
 一時間経っても死ななかった。それで粉砕機で殴り殺した」

DNA鑑定を恐れて彼は売春婦と事をする事は殆ど無かったという
唯一交渉を持った女性は指紋をナイフでえぐり取ったという

あまり報道される事は無かったが彼は女性以外にも
バイアグラなどを販売していた露天商を自宅付近で殺害し
手首を切断し、焼いた後
仁川・月尾島に埋めるという犯罪も起こしている
証拠隠滅の為に切り落とした手首は海に投げ捨てたようだ
彼はこの露天商に生活費をたかっていた。
そして自分が偽警察であると疑われ始め
殺害する事に決めたのだという

理由は後からついてくる。
彼はとにかく何か都合が悪ければ殺していたのだ。

単純に殺人という方法を思いついたのは
父親が癲癇の発作で亡くなり、兄も三十二歳という若さで亡くなった事も
決して無関係では無いようだ

「自分もそう長くは無い だったらやりたいようにやってやる!」

と思ったかどうかは不明だが、
彼は自分の病気と寿命について熟知しており
それらは彼の反社会的人格障害により拍車をかけていたようだ
しかし彼の癲癇の発作は演技も含まれており
実際はそう頻繁に発作が起こる事は無いようである
警察官は彼の癲癇の発作が嘘であることを知るのにかなりの時間をようしたようだ

彼は

「追加殺人を行う」
「刑務所で暴力団や経済事犯を一~二人殺し、この世を去りたい」

と語りさらに刑務所内での警護をやりにくくしているという
現在韓国では死刑制度廃止の法案が提出されており
彼は極刑判決を受けたものの、
そのまま終身刑として刑務所内暮らす事になる可能性も非常に高いのだという

警察や公式の記録を読み進んで居ると
彼が人肉を食べたという証言は嘘である可能性が高く
それを立証する証拠は見当たらなかったという結論に到達する

彼自身も「四人の臓器を喘息の発作の為に食べた」という証言以外
人食いを立証するような証言を残していない

結局彼は殺したかったから殺しただけで
喰いたかったから殺したからでは無い
警察も遺族の気持ちや、どうせ死刑なのが分かっているので
それ以上追求する気持ちも無いのだろう

裁判が終結した以上これ以上新しい情報が出る事は無いと思うけれど
もし出た場合、またこちらで紹介させて頂きたいと思う。

参考
朝鮮日報 特集ページ
http://japanese.chosun.com/site/data/category/murder/murder-0.html
*時系列で並べられており非常に分かり易い。

メソアメリカ・太陽に心臓を奉げた理由

アステカ文明が容易に崩壊したのは人身御供を奉げすぎたからである

という説を読んだのだが、
たったそれだけの事で文明一つが消滅してしまうような事があるのだろうか。
アステカの歴史は侵略者によって都合の良い形で書き換えられている
自分の推測だけで考えず歴史を追ってみる事にした

古代アステカで人身御供が行われ
心臓が供えられていたのは歴然たる事実である

人間を犠牲にする儀礼をトラミクティリストリといい
心臓は磨きぬかれたトルコ石に例えられていた

戦争はトルトラチノリと言ったがこれは神の液体と焼いた物という意味であり
戦場での死はシチョチミキストリ、花のような死と呼ばれた
確かに戦争で得られた捕虜を生贄として捧げていた事が多数あったようだ
が、そもそも何故心臓を太陽の為に奉げなくてはならなくなったのだろうか
マヤアステカの神話の太陽創出の神話に以下のような物がある

世界に日が無かった時
神々は集まって新世界を照らす仕事をすべきか議論していた
テクシステカトル(月の神)は世界に光明を与えるという仕事を引き受ければ
おそらく称賛を得ることができるだろうと考えまず最初に引き受けた
そしてもう一人皮膚病を患っていたナナウツインという神が推挙により
第二候補として引き受けた

二人は四日間の苦行を続けた後岩で築いた炉に火をつけた
テクトシカルは供物として枯れ枝の代わりに高価な羽根
干草の代わりに金塊
リュウゼツランの刺の代わりに貴石から作った針
先に血を塗って義務的に作った針の変わりに赤サンゴから作った針
最高品質のコパール樹脂を供えた

しかしナナウツインは枝の代わりに三本づつ束ねた九本の緑の葦と
乾草と自分の血を塗ったリュウゼツランの針
そしてコパール樹脂の代わりに
自分の傷口から取ったカサブタを供えただけだった

ナナウツインとテクトシカルの為に他の神々は
山ほど大きな塔を建てた
集まった仲間はその中で四夜苦行を行った

かがり火が四日間焚かれ
供え物の設置場所が壊されたあと、
神々は火に向かって二列に並びテクトシカルにこう言った

「テクトシカル、火に跳び込め!」

テクトシカルは四度試みたが四回ともたじろぎ
十分な勇気を集中する事ができなかった
が、ナナウツインはありったけの勇気を集中し
火に身を投げた
彼はパチパチ火を立て燃えた
恥ずかしくなってその後テクシステカトルも焔の中に身を投げた

神々のうちでもっとも卑しい神は行くべき道を示した。
そしてこの神話が
のちに、太陽の為に人間の肉体である心臓を引き裂くという要求の理由付けにされたようなのである

古代アメリカにおける初期の人身御供はおそらく自発的に行われていた
一人の若者は俗世におけるテスカトリポカの像として受け入れられ
死の直前の一年間特別の尊厳の中心に祭り上げられ
最高の敬意を持って処遇された

彼に遭ったものは大地にキスをし最敬礼をした
昼でも夜でも出歩くのは自由であり
いつも八人の従者にかしづかれていた

犠牲に供される二十日前に
世話人たちは着衣を彼が命を終える時に着る衣装に変えさせ
大切に育てられた四人の女神の名を与えられた処女と結婚する事ができた

最後に若者は天蓋のついたカヌーに乗せられ
妻が同行し低い丘のある場所まで漕いで行った。
そこに妻たちは残され、八人の従者だけが小さく粗末な造りの神殿まで若者についていった

一段めで彼は大事にされ幸せに暮らしていたこの一年間吹いていたフルートを壊し
二段目で別のフルートを壊し
三段目でも別のフルートを壊した

神殿の最上階に行き着くと
そこには神官たちが集まって彼を殺そうと集まっていた
彼らは二人づつ組んで立っていた
若者は手と首を縛って台の上に仰向けに寝かせられ
石のナイフが彼の胸を突き刺して心臓を抉り出し
直ちに太陽に供えられた

若者の死は真実なるもの、すなわち神化された心臓のみが
この世の生命を支える巨星の養分に値するという哲学的な理念に基づき受け入れられる

一般人の心臓はヨリョトルと言われ神化された心臓はヨルテオトルと呼ばれた
初期の段階ではその心臓を食うという行為は行われていなかったに違いない

しかしその後人身御供は定期的暦の訪れに応じて行われるようになる
この辺りの経緯については想像するしかないが
どうせなら太陽も多数の心臓を貰った方が喜ぶのだろうと
想像したのでは無いかと思う

人身御供を行う前
神官たちは神の行った試練と同時期間、四日間の断食を行う事から始める。(ネサワリストリ)
またこれとは別に特別な例として「神を食す者」としてテオクアクエとよばれる
男女の神官集団による一年間の断食であった

もっとも一般的な供物としてはウズラなどの動物の頭部が切り落とされるだけであったが
何よりも劇的で恐れられたのは捕虜となった戦士と奴隷による供儀であった
この生贄は準備期間中に儀礼的な沐浴を行い、注意深く衣装をあてがわれ
特別な踊りを踊るように教わり、
太らされるか、痩せさせられるかのどちらかであった

太ったほうが テクトシカルの化身で
痩せたほうが ナナウツインの化身であるのだろう

彼らは供儀の対象となるそれぞれ特定の神に扮するように
慎重に衣装を着せられた

供儀の技法としては斬首(通常は女性に対して)
槍や矢による射殺、溺死、火炙り、高いところからの投下、銃殺
生き埋めによる餓死や剣闘士との戦いなどもあったようだ

修道士ベルナルディーノ・デ・サアグンの証言によると
このような供儀も行われていたようである

「彼らはいつも石臼のように丸い石の上に捕虜を登らせた
 そして捕虜が石の上に乗ると神官の一人が
 石臼の紐通し穴から出てきた縄を取り捕虜の腰で縛った
 それから刃の代わりに縁に羽根を張りつけてある木刀を与え
 また四枚の松の板を与えた。
 それで身を護ると共に相手を落とすようにさせた」

とはいえこれも侵略者の証言である事は忘れてはならないだろう

上記の内容については真偽の疑いがあるけれd
普通は華麗な衣装に身をつけた捕虜の所有者と捕虜が
神殿まで行列を作って踊りながら進み一つの神聖な儀式として進んで行った

神殿につくと捕虜は階段の上の供儀の石(テチカトル)の場所まで導かれた
生贄は直ちに直ちに供儀の石に押し倒され
神殿の神官が儀礼用のナイフ(テチパトル)で胸壁を切開した

神官はまだ鼓動のある心臓をつかんで
「高貴な鷲サボテンの実」と叫び
ついでに心臓を胸からもぎとり
太陽の活性化、活力の補給を祈ってそれを太陽にささげた後
「クアシカリ」、鷲の器とよばれる円形に刻まれた容器の中に入れた

今や鷲人間と呼ばれる死体は
神殿の階段を下までばたばたと転がされそこでバラバラにされた
首を斬って脳を取り出し
皮を剥いだ後頭蓋骨はツオンパントリと呼ばれる頭蓋骨の棚の上に並べられたが
それは頭蓋骨を一杯ぶら下げて水平に並べた棹のような物だったという

その後捕虜の所有者達はトラカトラオリと呼ばれる
捕虜の人肉と乾燥トウモロコシのシチューを食べた

その他トラロクと呼ばれる供儀の生贄が集められ
彼らを殺すとその肉にウリの花を載せ
貴族、すべての上級裁判官が食べた。
しかし平民が食べるような事は無く
食べたのは支配者だけであった

一四五〇年から一五一九年にかけて行われたショチヤオヨトル花の戦争は
それぞれの首都で行う儀礼的祝祭に供する生贄の供給を安定させると共に
戦士を鍛錬させる為に行われたとされているけれど
結局は有力な都市国家群の中でこうした理由は重要であったが
勢力の均衡を崩したり、改めて築いたりするために
戦争が利用されていた事の理由のほうが有力であるようだ

世界宗教史7 ミルチア・エリアーデ著
メソ・アメリカの諸宗教ー都市と象徴
 人身供犠の実践と道具

マヤ・アステカの神話 アイリーン・ニコルソン



著者: アイリーン ニコルソン, Irene Nicholson, 松田 幸雄
タイトル: マヤ・アステカの神話

ミイラ作成法

高級な方法ではまず最初に鉄の鉤棒により
鼻腔を通じて脳髄を引っ張り出す。
こうして可能な限り除去すると、
薬品を使って残りを洗い出す。
次には黒曜石の刃物で脇腹に切り込みを入れ
そこから内臓を取り出す。
そして体の内部を荒いヤシ酒と香料の粉末で清める
しかる後純粋なミルラやシナモンなどの乳香をのぞくあらゆる芳香剤を詰め
切込みを縫合する
そのあとで遺体をナトロンで覆う

その期間は七十日でそれ以上ではない
この期間が過ぎると遺体を洗いエジプト人たちがよく糊として使うゴムを塗った
亜麻布の包帯で頭から爪先までを包み込む
こうして最後に遺族に引き取られ
あらかじめ人型に作った木の棺に入れ墓室で壁に立てかけて安置する

二番目の方法は
杉から取った油を浣腸器に満たし
腹部に注入する
原を切ることも内臓を取り出すことも無く
肛門から油を入れていく
しかるのち流れ出ないよう閉ざされる。そして定められた日数の間
ナトロンで乾燥し、それが終わると注入してあった油を抜き出す
その効果は強烈で
すべての内臓が液体となって流れ出てくる。
一方肉はナトロンによって減り骨と皮ばかりとなる
これが終わるとミイラ職人はそれ以上何もせず
遺族に引き渡す

三番目の方法は
単に腸を洗うだけでナトロンで七十日間乾かし
遺族に引き渡すのである

参考
エジプトミイラ5000年の謎
吉村作治
エジプト神話
ヴェロニカ・イオンズ


著者: 吉村 作治
タイトル: エジプトミイラ5000年の謎



著者: ヴェロニカ イオンズ, 酒井 伝六
タイトル: エジプト神話

エジプト・ミイラ作成法詳細

ミイラ作成技術は紀元前三二三年を境に徐々に消滅して行った
過去の技術である
歴史的にはアレクサンダー大王のエジプト征服及び
キリスト教の普及が背景にある
エジプト特有の死者の葬り方であるといえる

中世ヨーロッパではムミアと呼ばれる天然鉱物からの抽出物を処方し
万病に効くと広告していた
この鉱物は非常に高価な物であり、一般庶民が手にする事は
出来ない代物であった
その後その「ムミア」を愛用していた人物が
ミイラに塗られていた樹脂を「ムミア」を勘違いし
これがミイラの英語訳「マミー」の語源となったという

中世ヨーロッパではミイラの全身全てを粉にし
飲んでいたという
後日この薬を飲むと逆に心臓や胃の痛みが増発される事が周知され
薬として役に立たなくなったミイラは焚き火や蒸気機関車の燃料や
マミーブラウンという絵の具の材料として利用される事になる

元々は神話の時代オシリス神が人類初のミイラとされ
より生きていた頃に近い形で遺体を残す事が大切であるとされた

ナトロンと呼ばれる天然塩を使用し
中王時代には内臓を腹を切ったり尻から下剤を使って出したりしていたけれど
脳はそう大切な部位とは思われていなかったらしく
出されていたり、居なかったりとミイラによって違いがあるらしい

新王時代にはかなり技術的に確立し
心臓と腎臓を除いて左側の切り口から
身分の低い卑しい、下級労働者が取り出し
その後の作業は高位の人間が行って居たらしいけれど
これは人間の身体を傷つける事は禁忌に当たる事であったから
であるらしい

今も昔もお偉いさんは汚い事をやるのは嫌いであるようだ

ミイラというとつき物なのは
内臓を納める為に作られた色とりどりのカノポス容器では無いだろうか
取り出した内臓全てをあの容器に入れられるのだろうか?
と心配して居る人が居たけれど
あの容器一つ一つには入れる臓器が決められており
人類初のミイラとなったオシリスの息子ホルスの四人の息子を模しているのだ

肝臓 イムセティ  人の形をした容器
胃  ドウアムテフ ジャッカルの形
肺  ハピ     ヒヒ
腸  ケベフセエフ ハゲタカ

しかし腸全てがあの容器に入るとは思えないので
入れたのはおそらく一部、であろう。
現代でも過去の技術でミイラを作ってみようと
76歳の男性を材料に作った事もあるらしいけれど
遺体は何の問題なくミイラ化されたらしい

とはいえ当時は平均年齢30歳
あまりにも早く逝ってしまった人を悼み
お金をかけて配偶者をミイラ化させる事もあったようだ

しかし、女性のミイラを作成する際は事前に死姦される事を避ける為に
事前に腐敗させたという事もあったようだ
死体を腐敗させてもきちんとミイラ化するというのも驚きであるが
この辺りの習慣がエジプト人が死体をミイラ化させるようになった
理由の一つにあるように思えてならない

ただ総合して考えてみるに
偶然? ヨーロッパの人間がミイラを食べるようになっただけで
やはりエジプトの人間は食べられない為にミイラ化させたという説は
無理があるような気がした




著者: ロザリー デイヴィッド, リック アーチボルド, 吉村 作治
タイトル: カラー版 ミイラ全身解剖-ミイラ科学と古病理学が明かす古代エジプト人の生と死

エジプト・ミイラ作成法を追う

エジプト人は喰うための保存手段としてミイラを作ったのだろうか
それとも人の尊厳を守る為にミイラを作ったのだろうか。

ふと浮かんだ疑問を解決させる為に
まずはミイラを作る手段について考えてみる事にした

ミイラを作る方法は三種類あり
一つは一般的に知られている王族や貴族の為に
鼻から内臓をかき出し処理する方法であるが
残り二つは本当に簡易的な処置で
肛門から油を注入し
内臓を抽出したり
下剤で流しだしたりという
本当に「ミイラになるのか?」と疑問を持つような物である

しかし現代でも実際ナトロン(天然炭酸ソーダ)
を使い内臓を掻き出し、
古代エジプトと同じ気温四十度、
低湿度に設定したまま三十五日間放置すれば
ミイラ化するそうだ

人をミイラ化させるのは非常に高価で特殊な事だと思っていたけれど
上記考えると一般庶民にも広がり
普通に行なわれていたように思う

人を蜂蜜に百年漬け、
蜜剤として薬効の持つ物にするという技術も存在するそうだけれど
それを実際に食べてよいことが起こったという神話さえも
私は読んだ事が無い。
ただ老人がその蜜剤となる為に毎日蜜を食べ
頑張ったという逸話が残るばかりである

参考サイト

SVRIBBLED
http://www.zinciku.biz/egypt/
*エジプト関連コラム満載。
 特にエジプト関連のカニバイズムを調べていると以下のページに当たる
 が、トップページは上記のようです
カニバリズム ~人の血肉を求める神~
http://www.zinciku.biz/egypt/sub2-03.htm

ディル・エル・メディナ
http://oleanderbbb.hp.infoseek.co.jp/Funeral.htm
*ミイラについて色々述懐。非常に説得力がありました
 転載許可をお願いしましたが、もらえませんでした……
 葬祭儀礼とミイラ作りは名コラムです

参考文献「The British Museum --- Dictionary of Ancient Egypt」
イアン・ショー&ポール・ニコルソン著


ブラジル性産業についてメモ

以前タレントのマルシアがテレビで

「カーニバルの時は盛り上がって浮気をしても問題が無い」

という発言をしていて
周囲の人間がおののいていたのを数年たった今も覚えている
友人でブラジル人の人も居るけれど
どちらかというとおおらかで
優しい人であるという印象が強い。

ブラジルは1988年までポルノ禁止法があり
非常に厳しい性規制が行なわれていた
昨年までは
結婚した女性が処女で無かった場合離婚しても良い
という法律まで存在した。
とにかく基本的にはカトリックの国なので規制が厳しい事が多い

とはいえ過去の奴隷制の影響があってか
性についてはおおらかである
十歳、つまり小学校四年生にはもう性教育が始まる

失業率が高く貧富の差が大きいので
一般の女性でも気軽に風俗で働く傾向もあるという
最近はこうした女性がヨーロッパに出張し国際問題になっている

ポルノへの検閲は無く
売春は合法ではない
ただ実際は大概の町に「ボアッチ」と呼ばれるナイトクラブがあり
そこで売春が行われている
店は場所を提供するだけで交渉は個人が行なう

レイプ犯は最高十四年の刑となり
ポピュラーな避妊方法はコンドーム

アメリカ性産業についてメモ

似合わないといわれるかもしれないけれど
昨年MTVで放送された
ジェシカシンプソンとニックラシェイの新婚生活をピーピングした
番組は毎週欠かさず見る唯一の番組であった

飾らない彼らの生活の中から
アメリカの一般的な生活習慣が垣間見れ
ふむふむと考えさせられる事もしばしば
新妻ジェシカは結婚まで純潔を守ると宣言しそれを実行した人間で
会話の節々に

「ジェシカは結婚まで我慢したんだ」
「お陰でとても感動したわ」
「あの時あまりにも大きくてビックリした」

等々の話が織り込まれていた
アメリカというと奔放な性が思い浮かぶけれど
最近はこうした有名人の「純潔宣言」は珍しく無い
昨年同じく結婚したブリトニー スピアーズは
途中純潔宣言を撤回したけれど
性産業についてアメリカは「見える所は綺麗に」といった事が多い

ポルノに検閲は無く。日本とちがい丸出し。
売春は大半の州では非合法であるけれど
ラスベガスのあるネバダ州は合法である
ポピュラーな避妊方法はピル。
同性婚に関してはマサチューセッツ州は合法
となっている

売春婦と殺人鬼柳永哲

人喰い事件について語るにあたり
必要なのはその事件の詳細な情報のみで無く
その人が育った社会的背景等々が必要になって来る事が多い

韓国大量殺人犯 柳永哲は
殺した売春婦の人肉を喰ったと語っているが
一体どの部位を喰ったのだろうか
彼は警察官にこう語っている

「自分が殺した人のうち、六人の死体は臓器の一部がないはず」

つまり大腿部等々肉の部分では無く彼は内臓。
臓器の部分を喰ったわけだ
詳細の部位についてはこんな発言も残っている

「普段から気管支が悪く、殺す前に血液型を聞いて、
 O型だったらその人の臓器を食べた。
 漢方医学の本を見ていたら好奇心がわき、ほかの臓器も食べてみた」

気管支に効く人肉という事で手持ちの資料大分調べたが
どの部分が効くのかどうかは載っていなかった
強いて効く部分をいうのならば 胆嚢、肝臓の辺りだろうか
それは昔から人の胆嚢は万能薬として珍重されているからである

彼はそれを焼いて飲み下したと供述している

また喰わない遺体を荒らした理由について彼はこう語っている

「自分と同居し、自分を傷つけて出て行った女性と
名前が同じであった場合は、顔や尻、
性器まで残忍にえぐり取った」

とはいえ彼は初期の段階で遺体を粉砕機でコナゴナにしているので
その前の段階でなにをしたのかどうかというのについては
検証する事はできない

彼は貧困の中で育ち
その怒りを富裕層に向け殺害に及んだ。
現在平均的韓国人の収入は八十万ウオン、富裕層は五百八十八万ウオンで
その差は七.三倍もある
この貧富の差が事件の背景にあるのではと指摘する人も少なく無い

死体をコナゴナにしたのは罪悪感があったからだろう。
徐々にそこまでする事は無いと思い
音楽を大きくかけて死体を切り刻むようになり
人肉を喰うまでに至る

彼が富裕層の次に狙ったのは売春婦である
以外と知られていない事実であるが
韓国では2004/09/23 まで売春は合法的な手段であった
1961年に制定された「淪落行為防止法」に実効性が無かった為
性売買を全面的に禁止する法律である

つまり彼の事件が発生した時点では売春は合法的な手段であったのだ

韓国では少なくとも三十三万、
多ければ百五十万人の人が性産業に従事し、
三十五箇所ある売春地帯以外でもルームサロンなど高級クラブや
喫茶店、理髪店が売春の温床になっていた

彼が中々掴らなかったのは
売春婦を捕まえる場所に事か欠かなかったからかもしれない

韓国性産業の規模は二十四兆ウオンで
GDPの約四パーセントを占めている
こうした数字を見ているといかに売春産業が盛んであるか分かるだろう

韓国は儒教の考え方が強く
男性優位の社会である。
冬のソナタで韓国人男性に興味を持つ女性が増えたそうだけれど
個人的に韓国人男性は「暴力亭主関白」的印象が強いので
テレビドラマに騙されて結婚したら酷い目にあうので止めた方が
良いと思う

参考資料

彼の生い立ちについても陳述。ただ中国語です
その部分簡単に邦訳すると(カッコ付けは解説です)


>高校、中学時代。彼は十八歳から三十三歳までの十五年間。
>十四歳の頃の窃盗事件に始まり(ギターを盗んだ)
>窃盗、詐欺、暴力、強姦事件当で十一年間服役している。
>1991年。黄というマッサージを仕事にする女性と結婚。
>(マッサージと言うのは向こうでは売春と同じように使われるので
> もしかしたら奥さんは元売春婦だったのかもしれない
> 一説には組織に狙われ逃げている奥さんを助けた事により縁があり
> 結婚したと言われている)
>結婚後も犯罪を起こし、逃亡し。
>妻子を残して服役。その後奥さんは離婚した(離婚裁判を起こした)
>牢獄に繋がれている父親を適当だと奥さんは適切だと思わなかったのだ
>妻子は他の地方に逃げた。
>彼は子供と奥さんを求め探し回った。
>それ以来、彼はマッサージをする女性に自分の奥さんに対する怒りの化身
>であるかのように振舞うようになったのだ。


http://cszx.china.com/zh_cn/cstt/csxw/11024991/20041231/12043431.html

血と骨
昨年映画化されましたが、冬のソナタよりもこちらの方が
韓国人的男性の雰囲気を伝えていると思います
名著です



著者: 梁 石日
タイトル: 血と骨

私はミキサーに人肉をかけて喰った(韓国連続殺人犯・柳永哲被告に死刑判決)


韓国で発生した売春婦やお金持ちの女性を中心にした
連続殺傷事件。
現在判明している殺害数は二十人であるが
本人は三十人以上殺したと供述している

彼が人肉を喰ったのか
詳細は分かっては居ない
ただ被害者を殺害した後彼は「儀式」と称し
遺体を書籍やインターネット情報を元に解体し
時にはミキサーにそれをかけて喰ったという

想像のみならず、
真実に近づくにはやはりその過去を知る必要があるだろう。

彼は戦争帰りのアル中の父親と
既に二人の子供が居、妊娠を望まなかった母の元で生まれた。
父は酔うたびにハンマーで子供達を追いまわしていたという
幼い頃受けた「ハンマーによる虐待」が
後日女性殺害の凶器として選ばれる事となる

数年が経過し
父と母は離婚し、彼は父の元に引き取られる事になる
これは六歳位の事であるようだ
彼は父に何度殴られても町の中母親の姿を求め歩き続けたという
韓国人は後継ぎの存在をとても重要視するので
父親は愛人との生活に多少邪魔ではあっても彼を手放す事はしなかった

彼は生まれつき色を見分ける事が出来ず
中学卒業の際、芸術学校への進路を阻まれてしまう。
初めての大きな挫折。
その後彼の生活は荒れ
近所の女性のギターを盗んだ事により
刑務所暮らしも経験する事となる。

が、一人の女性の出現により人生は修正され
結婚、第一子を得る事となる

彼が大きなマスクを肌身はなさずつけているのは
その子供に自分の犯罪を知られたくないから
であるという
結婚後、彼は十五歳の売春婦に暴力を振るった罪で
逮捕されてしまい
彼の妻は離婚裁判を起こし、彼の元を去ってしまう

彼は最初に元妻を殺す事を考えたという
しかし妻を殺せば息子が路頭に迷う事になる
だから売春婦、豊かな人間を殺す事により憂さを晴らしたというのだ

彼の殺人は復讐的意味合いと
自分の寂しさを補う為の二つの意味があった

「自分が殺した人のうち、6人の死体は臓器の一部がないはず」
「普段から気管支が悪く、殺す前に血液型を聞いて、
 O型だったらその人の臓器を食べた。
「漢方医学の本を見ていたら好奇心がわき、ほかの臓器も食べてみた」
「精神を研ぎ澄まし良くない体の部位を改善するために食べた」

朝鮮日報
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/09/21/20040921000085.html

*中国日報では四人となっている。
 逮捕されなければ百人は殺したと供述
http://www.chinadaily.net/gb/doc/2004-08/14/content_365400.htm

彼は謝罪はするが
殺した事を後悔しては居ない。
死刑になるのは当然だから裁判には出たくないと供述しており
実際何度も退廷処分となっている

所持品今回(上部のカラー絵は息子が書いたらしい。
白黒のデッサンは彼が書いたもの)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/07/19/20040719000040.html

[続]