日本残酷物語
先だっての沖縄の情報を元に
過去のアイヌ民族の風習を調べていたら
古い面白そうな復刻本を発見しました。
日本残酷物語
貧しき人々の群
ISBN4-582-76095-3
かつて残酷と名づけられてしまった現実
という 大月隆寛さんのあとがきも読む価値のある。納得できる内容であった
人喰いが関わってくるのはやはり突如として襲ってくる
「飢饉」の恐怖部分である。
むかしの飢饉というものは、今日では想像がつかぬほどの、激しい破壊力を持った力を振るった。
生産力が低く、飢えと粗食が日常であった時代には凶作はただちに生死の問題に直結したのだ
道端に倒れる人は数限りなく
はじめの内にこそ死体を埋めていたがまもなく誰一人と
省みる人は居なくなった
至る所に犬やカラスが群がって死体を食い散らかす光景が眺められ
人肉の味を覚えた犬はやがて生きている人間さえも襲うようになる。
人が死んだという話を聞けば
「このたさまではお祖父さまがおなくなりになった由聞いてまいりました。
近頃御無心ながら、片身なりとも片ももなりともどうぞおわけくだされまいか、
わたしのところの祖父さまも、二三日の内には片がつくだろうと存じます
その際はすぐにお返しに上がります」
と女が尋ねてくる話は非常にリアリティがある。
他にも人食いをした家族の姉が山に篭り人を喰いつづけ逃げ回る話が掲載されているが
こちらはどうもできすぎていて、嘘っぽいような気がした。
「かまで追っ手を殺し喰い続けるって……やりすぎだろう」
人食いをした人間は首に石を結わえ付けられ川に投げ込まれ
川下の浅瀬で立ち上がったところで石を投げつぶてで打ち付けて殺すだけでなく
親族も復讐に来るやもしれぬと親類縁者も連座して殺されてしまう。
このあたりの感覚は日本人的には過去ありえそうなシチュエーションでは無いだろうか
説明によると、当時餓死した人間の肉を切り刻み
橋の下の川原で草木の葉と混ぜ合わせ「犬の肉だ」といって
売るのだという話は珍しくなく
その当時人間と家畜の距離はかなり近かったようだ
馬を食べた=人肉を食べた
四足の動物を食べたという意味で同意味と取っている節もあると書いている部分もある
かなりページ数多いので完読には時間がかかると思うけれど、
ナチュラルな人喰い話は小説仕立ての現代の犯罪と違い
恐怖度はかなり高い